花電車とは何でしょう。「明解國語辭典」(1943)には《奉祝・(記念)の爲に美しく飾って運轉
する電車》とあります。要はイベントのために走らせた装飾電車のことで、電動からくりやイルミネーションが当時の人々の大人気を呼びました。今で言えばディズニーランドのエレクトリカルパレードみたいなもんですな。
日本最初の花電車は明治37年(1904)9月2日、日露戦争の遼陽一部占領記念のために走ったのが最初だとされています。以後、博覧会・戦勝記念・皇族の記念日などに頻繁に行われました。
ちなみにストリップ小屋の芸やウミウシ科の軟体動物にも花電車という名称がありますが、いずれもここから派生したものです。
それでは帝都を彩った花電車を見てみよう! 紀元二千六百年奉祝記念(昭和15年11月)に東京市が走らせた花電車をどうぞ!
「奉祝」
「浦安舞」
「聖壽萬歳」
「八紘一宇」
「四海歓喜」
十一月十六日。陰(くもり)。(中略)水天宮門前に花電車数輌置きならべあり。見物人雑踏す。一輌三千円かかりしなど語り合へり。余病院薬局の女の語るところをきくに病院内にて花電車を見たることなしといふもの三分の二以上にて、これを知るものは四十あまりの者ばかりなりとの事より推測して、現在東京に居住するものの大半は昭和十年以後地方より移り来りしものなることを知れり。浅草公園の芸人に東京生れのもの少きも今は怪しむに足らざるなり。時代の趣味の低落せしも故なきに非らず。(『断腸亭日乗』)